食輸出の「創り方」《7》輸出における役割分担

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前回までで、食輸出の商流を構築するために、どのように進めていくべきなのか、私見を書かせていただいた。今回は誰が輸出に責任を持って、情熱を持って進めていくべきなのか、少し書いてみたいと思う。なお、各バイヤーとの取引形態、取引量は異なるため、生鮮の海外輸出において、まだまだ主流である「少量多品種」を前提に書いてみたい。

生鮮業界(農産物、水産物)の生産品は原則的に、農業協同組合(JA)、漁業協同組合(JF)のような荷主、または、大卸(荷受け) および仲卸により流通していく。さて、商流を構築する関係者の誰が、食輸出に対して責任を持って取り組んでいくべきだろうか。

大ロットの輸出であれば、生産者、荷主、大卸、仲卸が行っても特に問題ないと考える。

これまで携わってきた生鮮輸出では、前述の通り、少量多品種の輸出が非常に多い。海外バイヤーのニーズは、海外のエンドユーザー別の梱包や輸出日当日でのエンドユーザー納入など多様化している。そのため、サプライヤーはバイヤーのニーズにきめ細やかに対応できる体制を整備しておく必要がある。そういう意味でも、生鮮業界における輸出は、仲卸が責任を持ち、情熱を持って進めていくきではないだろうかと考える。「安心・安全・新鮮・おいしい」が大前提であることを勘案すれば、各分野の仲卸は目利きのプロであり、前記条件をすべて満たしているのではないだろうか。

加工品業界についても考察してみる。近畿管内の加工品の輸出額は約840億円。食輸出全体が約2204億円であり、その割合は38.1%と非常に大きい。流通の特徴を生鮮業界と比較すると、百貨店、スーパー、コンビニエンスストアなどの小売店および専門店が主流の点にある。品目数も生鮮商材とは比較にならないほど多種多様だ。バイヤーからのオーダーはどうか。生鮮商材では、例えば、モモが欲しい、シマアジが欲しいなど、非常に具体的だ。一方、加工品は、味・価格・賞味期限・最低ロット・売り先などの情報から、どのような商品が販売できる可能性があるかを選択し、調整しなければならない。

そのため、加工品業界における輸出は、卸売業者が責任と情熱を持ち、進めていくべきではないだろうかと考える。ただし、卸売業者は、多くのメーカーとの取引および商品の知識を持っていることが大前提となる。

いずれにせよ、輸出促進は、まず、輸出したい事業者が情熱を持って進める、また、その支援者は困りごとの解消に全力を尽くしていくべきである。その「パッション」と「アライアンス」こそが、今後の食輸出拡大に貢献するはずだと信じている。

株式会社 ITADAKIMASU FINE FOOD 代表取締役副社長 高橋啓輔
2017年7月28日 日刊CARGO寄稿