食輸出の「創り方」《10》地方創生に向けて②

記事

前回、地域の特産物を販売するために、われわれがどのような事業をどのように進めていこうとしているのかを具体的に書かせていただいた。しかし、地方創生を検討する上で「特産物を売る」だけでは、やはり、パズルのピースが足りないのではないかと考えている。

「特産物を売る」ことについては、特に中小規模の農林水産業者およびメーカと連携し、小ロットの特産物を流通させ、広くPRすることを目的に取り組んでいる。地方から小ロットの特産物を適正価格でどのように集め、eコマース(EC、電子商取引)およびリアル店舗で販売するかを検討する必要がある。商品そのものの価格以外の費用を工夫しながら可能な範囲に抑制した「適正価格」で販売するわけだ。

そのうえで、ピースとしては「Transportation」を考える必要がある。それも、「物流」(物の行き来)と「交通」(人の行き来)の双方からの検討だ。

まず「物流」について考える。国内流通でも、物流が非常に大切な要素だ。地方から大阪に小ロットの商材を集めるためには、市場便を利用することが最適と考える。地方市場や農業協同組合(JA)から大阪に向けて毎日、市場へ納入する便が走っていると聞く。毎便、満載であれば利用はできないが、小ロットの商材であれば、混載も可能なのではないだろうか。この方法が最も効率的で効果的な輸送方法ではないかと考える。「適正価格」にもつながる。

一方、当面の間、出荷者にいかに負荷をかけず、出荷していただくかも重要な観点だ。現在、主流であるECマーケットでは、顧客オーダーに対し、最速で出荷するオペレーションが組まれている。慣れている事業者には全く問題ない話かもしれないが、出荷者には大変な負荷がかかる。物量を確保し、単価低減を図り、「適正価格」にいかにつなげるか。顧客オーダーおよび出荷量が少ない場合は、出荷日を決め、まとめて出荷する方法がメリットを生み出し、負荷低減にもなろう。

「交通」についても考えてみよう。旅行の際は、距離や気分に応じて、飛行機、電車、車など、さまざまな交通手段を利用する。では、そもそも、なぜ旅行に出かけるのか。それは、その土地の風景を見ると同時に、その土地のおいしいものを食べたり、買ったりするために旅行に出るのだろう。それは、日本人でも訪日外国人でも、ほとんどは同じではないだろうか。しかしながら、「物を買う」および「旅行需要を喚起する」、この二つを融合したような取り組みおよび販売方法は、知る限りあまり存在していない。

物を売る(PRする)ことで、地方での生産力の拡大および収入(新規も含め)の増加を図る。そして、その物を買いたいという気持ちを、その地方そのものへの関心につなげ、需要を喚起し、実際に訪れてもらう。「物流」「交通」の両面を融合し、具現化することこそが、地方創生につながると考えている。

次回いよいよ最終回となる。これまで書いてきたことをまとめながら、将来の展望について考えたい。

株式会社 ITADAKIMASU FINE FOOD 代表取締役副社長 高橋啓輔
2017年9月13日 日刊CARGO寄稿